広報誌:世田谷区スポーツのしおり

(公財)世田谷区スポーツ振興財団、世田谷区教育委員会、区立スポーツ施設、各総合支所地域振興課、出張所等で配布しております。

平成24年度 【春号】

このヒトに会いたい 世田谷アスリートInterview

プロボクシングWBA 世界スーパーフライ級王者

清水智信さん

04 スポーツ豆知識
〝夏に備えるフィットネス〟あなたはどの「シェイプアップ」を選びますか?
06 いつでも気軽にenjoy sports !
09 イベント& スポーツ教室
09 GW 特集
13 平成24 年度 実施予定の教室・イベント一覧
16 公益財団法人世田谷区スポーツ振興財団賛助団体のご紹介
17 Pick Up!!
  総合運動場
  大蔵第二運動場
  千歳温水プール
23 イベント・教室等の参加お申込み方法

このヒトに会いたい 世田谷アスリートInterview

世界を獲ってより強くなったのは
支えてくれる人たちへの感謝の心です。

プロボクシングWBA 世界スーパーフライ級王者

清水智信さん

ブラブラ遊んでいても空しいだけ
何か打ち込めるものが欲しかった

小・中学校はサッカーに夢中でした。高校でもサッカー部に入ったんですが、1年生というだけで球拾いばかりで3日で辞めました。そのあとは目標を失い、バイクに乗ったり遊びの方に夢中になって…。でもそのうち、ブラブラしているのも空しくなって、何かに打ち込んでみたくなりました。格闘技好きの友だちたちとタウンページをめくって、たどりついたのが街のキックボクシングジムです。通い始めたものの1人欠け2人欠け、2ヶ月後にはボク1 人になっていました。ボクも辞めようとしたところ、そのジムの会長から「清水はキックというよりボクシングの才能があるよ」と言われた。うれしかったですね。そこからです、ボクシングを本気で始めたのは。ボクサーというと、昔からケンカばかりしていたとか、逆にいじめにあって強くなりたかったとかのイメージがありますが、ボクの場合はどちらでもありません。童顔だからなめられちゃいけないとか、もちろん男だから強くなりたい気持ちはありましたが、最初から選手になろうと思って始めたわけではないんです。

アマチュアボクシングの名門農大の主将に 
砧公園や馬事公苑をランニング

高1の終わりから始めたボクシングでしたが、高2で全国選抜大会に出場。ボクの実績が評価され、母校(福井県北陸高校)にボクシング部を作ることもできました。最終的には高校選抜ベスト8の成績を残し、アマチュアボクシングの名門・東京農大にスポーツ推薦で進学しました。インターハイクラスがゴロゴロいて、ほとんど無名のボクは最初は圧倒され萎縮していました。でも先輩にスパーリングでもまれるうちに強くなり、4年時には主将を務め、国体・全日本選手権で準優勝の成績を収めることができました。大学時代はボクシングの技術もさることながら、人としての礼儀作法やスポーツマンシップを徹底的に叩きこまれました。それがボクにとってかけがえのない財産になったと思います。
農大は経堂にあります。キャンパスの中にある合宿所でずっと暮らしていたので、経堂や千歳船橋は庭のようなもの。砧公園や馬事公苑などはよくランニングに出かけました。実はボク、上京してからほとんど世田谷区を出たことないんですよ(笑)。

教師の道を志していたが
このままでは一生後悔すると思った

アテネ五輪の強化指定選手に選ばれていたこともあり、オリンピックには是非とも出たいとひたすら練習を続けていました。しかし、プロになる気は全くありませんでした。実際、卒業後は福井に戻って教師になろうと決めていました。なのになぜプロになったかというと、全日本や国体での成績がずっと準優勝とか3位ばかりでしたが、自分では勝ったと思う試合が多かったからです。もしこのままボクシングを辞めたら一生後悔する、プロで自分の本当の力を試したいという思いが背中を押しました。ですから、最初のうちは親も反対で説得するのに苦労しました。

ボクシングを通じて人の痛みがわかる人間に

世界チャンピオンになれたのは、これはもうめぐりあわせじゃないでしょうか。実力だけではなれないし、運も、タイミングも、お金も必要です。トーマスエジソンは、天才は1%のひらめきと99%の努力だと言っていますが、その1%の何かを持っている人がなるんじゃないかなという気がします。ボクの場合、ただ運が良かったんじゃないかなと思いますけど…。世界を獲ってから自分の中で変わったことがあるとすれば、それは以前に増して周囲の自分を支えてくれる人たちへの感謝の心が強くなったことです。ジムのスタッフの力とか、ファンの強い想いとか、そういうものが結集して初めて世界のベルトに手が届くことを、頂点に立てたことで本当の意味で実感することができました。ボクのチャレンジはまだ続きますが、ボクシングを通じてボクは、〝人の痛みがわかる人間〟になれたと思います。
(取材日 平成24 年2 月23 日)

清水智信さん

(プロボクシングWBA 世界スーパーフライ級王者)

1981年6月生まれ。福井県出身。東京農業大学卒業(ボクシング
部主将)。78戦のアマチュアキャリアを経て、2004 年3 月、金子ジムよりプロデビュー。08 年4月、吉田健司(笹崎)を3-0の判定で下し、念願の日本タイトルを獲得。10 年11 月、保持する日本タイトルを4度防衛した後に返上し、世界奪取に照準を絞る。11 年8 月、1階級上のスーパーフライ級で、WBA 世界スーパーフライ級チャンピオン、ウーゴ・カサレス(メキシコ)に挑戦。悲願の世界タイトルを奪取した。4 月4 日には、WBA 世界スーパーフライ級タイトルマッチ(王者統一戦)を行った。23 戦19 勝(9KO)3敗1分。